21世紀の縄文人を目指す男の記録


by jhomonjin
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八の字除草開眼・・・整体式草刈術の工夫

今の時期、農家は田んぼや畑の畦除草に追われる。
圃場に除草剤を散布してあっても、圃場の周囲や畦には沢山生えているからだ。
これは自然農法でも慣行農法でも同様だけども、稲に覆いかぶさる程に伸びた雑草は、作物への日当たりと風通しが悪くなるし、カメ虫などの害虫を田んぼに入れない為などの目的で、刈払い機(草刈機)などでの除草が必要となる。
研修先の農園では、自走式の大型除草機と、人間が手に持って除草する刈払い機を併用している。
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刈払い機
俺の場合は、腰を捻らず、腕力も使わず、刃の回転トルクに乗って、股関節の前後動とステップの踏み変えで左右に振っている。ハンドルも握らずに掌を上から軽く乗ておくだけだ。握ってしまうと機械の振動で疲れるし、シビレてしまうからだ。

俺は刈払い機による除草作業が好きだ。
機械を人間が扱うのではなく、人間が機械を扱う感覚が楽しいのだ。
ちょうどバイクに乗ってワイディングロードを走っている感じに近い。個人の工夫次第で作業効率や出来栄えに差が出来るし、エンジン音に包まれた孤独感がたまらない。

俺はこれまで色々な人の刈払い機による除草を見てきたが、その中でダントツの達人だったのが、藤沢の植木屋でバイトしていた時の親方のFさんだ。

ある時、草丈が2mを超える程に雑草が伸びたジャングル状の空き地を5人で横一列に並んで除草した。
刈払い機による除草は、刃の回転が反時計回りなので、右から左に刈払い機を動かせば刈られた雑草は自然に左に倒れていく。
田んぼの畦道を除草する場合は、最初に田んぼを右側見て、右の畦際を前進しながら刈っていって、終点で折り返して左の畦際を刈って戻れば、刈った雑草が田んぼに落ちないですみ、刈り残し無く綺麗に除草が出来る。これは農家なら誰でもやっている。

問題なのは、その時の様に雑草が背丈の高い雑草がジャングル状になっている場合だ。
その時は、仕事の効率を考えて、基本通りに地際を右から左へ刈払い機を動かせば取合えずは右側は地面が見える程には刈る事が出来たが、高さが2mもあるイネ科の雑草が倒れると、左側がグシャグシャに折り重なって地際から綺麗に刈れなくなってしまった。
倒れた雑草の下に刈り残しの雑草も埋もれてしまっている。
しかも葛などの茎の太い蔓草も生えていたので、シャフトに蔓が絡み付いて自由が利かず、他の職人さん達も刈払い機を目茶苦茶に振り回してい悪戦苦闘をしていた。
しかし親方のFさんだけはズンズン先に進んでいって、刈り後も綺麗だ。
倒れた雑草も一定方向に倒れている。
このことは、Fさんは規則的な動作の連続で仕事をしている、という事の証明になる。
動作に無駄が無いのだ。
職人さんのテイタラクを見かねてFさんが怒った。
「お前ぇら、ダメだ。みっともねえぞ。頭を使え!いいか、刈払い機の刃は左に回転してんだ。その回転トルクを上手く使えよ。それにこんなに背が高い草刈んのに、一発で仕上げようと思うんじゃねえ。俺のやんの見てろ!」
こう怒鳴って全員を集めてFさんの除草を見学させた。
Fさんの除草は、最初に雑草の真ん中くらいを右から左に刈り、戻りで左から右へ地際を刈っていく、という二段式除草だった。
見ていて気持ちが良い程に手際が良く、綺麗な仕上がりだ。
真似してみたが、全員Fさんの様には上手くいかない。

あれからジャングル状の荒地を除草するにつけ、Fさんの真似をしてみていたが、先日やっとそれらしきコツを掴んだ。

まず右から左に中段を除草する時には、右足を前に出した右半身に後傾気味に構え、刈払い機の刃を水平ではなく、左手首を半月(手の甲を外側に曲げる)にして左側を下げた斜めにして、上から右半身を叩き付ける様に左側に一気に除草する。
左から右に戻る時は、左手首を満月(掌を内側に曲げる)にして地際を水平だ。
この時に重要なのは、左肘を脇から離さない事と、刈払い機の刃先を正中線から外さない事だ。
これは古武術やお茶の稽古からの工夫だ。
そうするには、腰の回転が必要なのだが、それだと腰が痛くなるので、俺の場合は左右の股関節を前後にスライドさせて刃先の左右動を作っている。
子供の頃に習っていたボクシングでは、防御や攻撃によく股関節を動かして半身の入替えをするのだが、これはその応用だ。
こうすると左半身、右半身の入替えが素早く出来、股関節の動きで全身が連動して大きく身体が動いてくれるのだ。

手首を半月、満月にする、というのは、整体とお茶の稽古からの工夫と用語借用だし、古武術の師匠である甲野善紀先生の杖術や槍術でもこの手首の動きは多様されている。
右手首は、左手首を主導にして、逆に曲げれば良い。
左手首を満月にしたら、右手首は半月という具合だ。
「田んぼで学ぶ井桁術理」の処でも書いたが、やはり肉体労働には左の動きを主導にする、というのがポイントになる様だ。

この一連の動きを刈払い機の動きで見れば、刃先が左右に八の字に動いている事になる。
体感的には和船の櫓を漕いでいる感じに近い。

疲れや時間の流れを忘れて夢中になって草刈していたら、時刻は夜7時半をまわっていた。
一人だけで仕事をした場合は、いつの間にか整体の動法の稽古になってしまうのはよくある事だ。
思えばボクシング、ウィンドサーフィン、スノーボードとこれまで夢中になってきたスポーツも、上達の狭間には、「疲れも時間の流れも忘れて無我夢中になった」時を経験している。
いい感じだ。一皮剥けた感じで、なんだか嬉しい。
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by jhomonjin | 2010-07-19 00:07 | 自然農法 | Comments(0)