人気ブログランキング | 話題のタグを見る

21世紀の縄文人を目指す男の記録


by jhomonjin
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

正しい日本の正月

明けましてオメデトウございます。
年明けして四日だというのに、今回は年末の話だ。
正しい日本の正月_f0225473_0153658.jpg
明星山
小滝の明星山は麓の渓流に翡翠原石がゴロゴロと転がっている。観る角度によってヨセミテそっくりだ。ロッククライミングやる人には全国的に有名らしい。正月三日に携帯電話で撮影したが、実物は朝日を受けて神々しかった。

俺達が計画している「姫川流域こども交流プロジェクト」の流れで、十二月に京都から小滝に越して来た新婚のK夫妻を暮れに実家に招待した。
せっかくの田舎暮らしだからと、糸魚川のお節料理を俺のお袋に習わせるためだ。
糸魚川のお節料理のメインディッシュと言えばブリの刺身だ。
糸魚川の家なら大抵は出刃包丁と柳葉包丁、アジ切り包丁の三本は揃えていて、ハレの日には一匹丸ごとのブリを三枚におろして刺身を作るのが主婦の仕事だ。
正月のデザートと言えば水羊羹なので、これも必須課題。あとは餅作りと山菜料理。
最近の我が家では、水羊羹は俺のアイデアで青竹に入れて保存している。
年始の挨拶に来た親戚などのお土産にそのまま渡せば風流だし、日持ちも良くなる。
渡す前に竹の端を鉈で切れ目を入れておけば、帰ってから手で引張るだけで竹が二つに割れる工夫をしてある。
正しい日本の正月_f0225473_014894.jpg
刺身作り
初めてにしては上手く出来ていた。慣れが必要なので数をこなす事と、包丁の研ぎを覚える事が大事。この後は握り鮨作りも習っていた。次回は蕎麦打ちを教わるんだ、と張り切っていた。

K婦人は京都生まれの京都育ちで、刺身というとスーパーのパック売りしか買った事が無いそうで、本格的な魚料理は初体験だ。
初めての時は失敗するに決まっているから、練習用に30cmほどのフクラギ(ブリの子供)を近所に一緒に買いにいった。一匹三百五十円也だ。
嫁さんを刺身作りに挑戦させている間に、K君を近所に住むNじいさんの家に連れて行き、注連縄作りを習わせた。
Nじいさんは数年前に根知という山奥の集落から市街地に出てきた人だ。
この人は田舎暮らしの達人で、何でも自分でやってしまうし、色んな事を知っているので俺は分からない事があるとよくこのじいさんに相談しに行く。
山仕事や百姓仕事、木工や山菜採りと何でもござれで、この人の話しは百%自分の体験談だけなので、俺は田舎暮らしの師匠にしている。
戦争中は海軍航空隊で一式陸上攻撃機の整備兵をしていたそうなので、勉強も相当に出来たのだろう。
正しい日本の正月_f0225473_0143551.jpg
注連縄作り
当然ながら右側がNじいちゃん。左がK君。Nさんは手が早いので、うっかりしていると大事な処を見過ごしてしまうから、教わる方は目が点になる。八十歳近いのに、立派なもんだ。

K夫妻ともども、お袋とNじいさんの仕事振りに感動していたが、田舎では当り前の何でも無いことが都会の人から見れば達人技だ。
糸魚川でも若い夫婦になると、お節料理は実家に帰って食べるので、お節料理や魚料理の作り方を知らないという人達が増えているようだ。
このままでは三十年後の日本から「正しい日本の正月」が消えていくのも確実だろう。
俺の周りには正月に着物を着て過ごす人もお袋くらいになった。
自分の生活を自分で作っていく充実感も、お金で買って間に合わせているうちに忘れ去られていく運命だ。
正月をジャージ着てごろ寝しながらテレビ観て過ごした人よ、田舎へお出でなさいよ。歓待するよ。
by jhomonjin | 2011-01-05 00:34 | 田舎暮らし