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21世紀の縄文人を目指す男の記録


by jhomonjin
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火事場の原始力・・・重量物移動の工夫

縄文カヌーの用材を伐採して明日で二週間が経つ。
それからというもの、四月十日の『けんか祭り』当日以外は連日雨の日もピーカンの日も一人で休まず斧を振ってカヌーを作っている。
一時間だけ手伝ってくれた人がいたけど、小型の鉈を三十分間使っただけで腕に力が入らなくなったと言っていた。
俺は二週間も、普通の倍の重さの大斧を振るい続けていても筋肉痛にはなっていない。
整体と古武術をやっていたお陰だ。
神奈川にいた頃は、整体の稽古の一環として、薪割り講座もやっていた。
これで局部的な筋肉痛があれば、教えていたことが嘘になってしまうから、一安心だ。

ただこの数日は疲れやすくなってきた。
急に立ち上がると、立ちくらみもするようになった。
明日は雨らしいので、半日仕事にして温泉にでも行く事にする。
糸魚川には温泉が沢山あるのだ。
以前に市内にある『焼山温泉』に行ったら、廊下に凄い色紙が飾ってあった。
サインの文字は読めない文字が多いから、よくラーメン屋なんかに色紙の上か下に誰のサインか判るようにサインした人の名前が貼ってある事があるが、それだ。火事場の原始力・・・重量物移動の工夫_f0225473_2024546.jpg
凄い色紙
『柳泉小団活』とワープロ書きされている。聞き覚えの無い噺家なので、上方(関西)の噺家かと思ったが、柳泉なんていう亭号は聞いた事が無い。本人のシールが貼ってあったので読んで大笑いだ。寄席の世界では噺家の名前などは「寄席文字」で書く習慣がある。だから噺家さんは各自で工夫して寄席文字で自分の名前のシール(伝統的なものは千社札)を作って、色紙に貼ったりするのだ。
火事場の原始力・・・重量物移動の工夫_f0225473_20341748.jpg
アッチョンブリケ!
くだんの噺家の寄席文字シールには、柳家小団治と書いてある。寄席文字に慣れていない焼山温泉の事務員さんには家が泉、治が活に読めてしまったのだろう。しかしアッチョンブリケって古いですなあ。

ちょっと間抜けな話の次は本題だ。

全長8m、平均直径0・6mの伐採直後のトウヒは、推定で2t前後はあるだろう。
先週はカヌーの船底部の樹皮剥きと白太(白い外周部分。辺材ともいう)の除去をやった。
今週はひっくり返しして、人間が乗る部分の樹皮と白太の除去、それと船内内側の抉りをやった。
問題は2tもある丸太を一人でどうやって引っ繰り返すかだ。
単管パイプをテコにしても、グラつかせる事は出来ても天地返しまでは無理だった。
しかも現場は坂になっていて、雪解け水が常時流れてくる足場の悪い環境である。
そこで工夫したのが、下の写真ジャッキアップだ。
火事場の原始力・・・重量物移動の工夫_f0225473_20511470.jpg
ダルマジャッキ
4t用のダルマジャッキで片側を持ち上げながらパッキンを押し込むという作業を4回繰り返してから単管パイプをテコにして横転に成功した。同じ事をもう一回やれば天地返しになる。最後はど根性しかない。

俺の車にもジャッキは積載されてはいるが、所詮は軽トラック用だし、それに車用はでかいので現場では不便だ。
建築現場でよく使うのがダルマジャッキというコンパクトな油圧ジャッキで、新品だと3万円はする。
駄目モトでスクラップ屋さんに行ったら、なんと千円で中古が売っていた。
やってみたら大成功だった。
火事場の原始力・・・重量物移動の工夫_f0225473_2125561.jpg
上下移動
丸太の下になっている角材を大きな物に交換する必要があったので、持ち上げてみた。丸太の木口にノミでジャッキの頭が入る欠き込みを掘ってからジャッキアップした。これも簡単に成功。

この方法を自分で現場合わせで安全確実に出来れば、倒壊家屋の解体や重量物の下敷きになった人の救助にも応用可能だ。
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天地返し成功
2tの丸太を一人で引っ繰り返したり、上下移動させた経験は普通の人には何の役にも立たないけど、ちょっと自慢だ。世界が広がった感じがする。しかしこんな経験の積み重ねでサバイバル技術が培われていくと思う。

天地返しが終われば、樹皮剥きと墨出し、そして白太除去と水平面出し、いよいよメインイベントである船内の刳り抜きだ。
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抉った船内
大斧でガッツンガッツンと船底を剥がしていき、小型の手斧でザックザックと綺麗に掃除していく。20cm程抉っていったら、やっと青い芯が見えてきた。芯を早く撤去しないとひび割れがくる。

俺の持っている大斧は重量3・5キロ前後で、色々な人にやらせてみたけど、普通の人は狙った所に命中させる事は無理だ。
振りかぶっただけで斧の重さで体がよろけて、とても危ない。
今週は某テレビ局がネタ探しの取材に来て、百発百中に狙い通りに削れていくと驚いていたが、斧の扱い方は左手を主体にする事だ。
右手を忘れて、左手の肘の角度を狙った所に当てるつもりだと、上手くいく。
もっと具体的に説明すると左の肘打ちをするつもりになればいい。
あとは距離感の問題だが、こればかりは経験がモノを言う。
それと「重いモノは軽く、軽いモノは重く扱う」という事を念頭において斧も鉈も扱う工夫をすれば、疲労はずっと少なくなる。
by jhomonjin | 2011-04-15 20:38 | 日本海縄文カヌープロジェクト