波の花・・・オヤジの存在感
2011年 12月 28日
風流な日本語だが、北国では別な意味もある。
この写真は一週間ほど前の大雪の日の糸魚川の海である。場所は浦本という漁村だ。
怒涛逆巻く海と鉛色の空の景色は、いかにも冬の北国らしい風景だが、右端に写っている白い浮遊物に注目して欲しい。
白い泡状の浮遊物の正体は、植物性プランクトンが分泌する粘液混じりの波の泡らしい。海水温度が冷えて、強風で波の高い時にだけ見られる現象だ。海面にモコモコと白い泡が盛り上って、やがて風に吹かれて飛んでいくのだ。
波の花が海面から飛び立つ瞬間。北陸では国道8号線が概ね海岸線を通っているから、時には国道にも飛んでくる。現象としては風流だが、地元民には車や家の金属部分が錆びたり、農作物が塩害を受けたりで迷惑な現象。
俺の実家はかっては海岸線にあった。
だから真冬になると怒涛が地響きをたてて押し寄せる振動が家にいても伝わってきた。
波が防波堤にぶち当たる時には家がガタガタと揺れた。
一晩中そんな騒ぎが続くのだ。
そんな晩にオヤジが不在だと、本当に心細い。
何をする訳でもないのに、何故かオヤジが家にいるだけで安心できるのだ。
北国ではオヤジの存在感がまだまだでかいのである。