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21世紀の縄文人を目指す男の記録


by jhomonjin
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ドキュメント上越航海・・・ワレ上陸ニセイコウセリ 05251250 (後半)

漕いでも漕いでも500m先の有間川漁港は近寄ってこなかったが、竜太と必死に漕ぎ続ける。この500mが今回の最も困難な状況だった。
有難いことに漁港に近づくにつれ、ウネリが小さくなってきた。
09:00 やっとの想いで入港。
まだ出航してから4時間しか経っていないのに、一日が終わった感じ。
ここまで休憩無しだったので、クルーの休憩も兼ねて2時間の潮待ちをすることになった。


有間川漁港には、誰でも利用できるログハウス風の洒落た休憩所があり、そこで朝飯兼の昼食。
航海成功を確信した関係者一同、安堵感と達成感で賑やかな食事休憩となったが、食事後はベンチや二階のロフトで各自横になる。
疲れて眠かったが、いざ横になっても気が昂ぶっていて数分で起きてしまった。
竜太も同じだったみたいだ。

ドキュメント上越航海・・・ワレ上陸ニセイコウセリ 05251250 (後半)_f0225473_20252619.jpg3年越の願いが叶って居多ケ浜が2キロ先に見えてきたので、ラストスパート前の小休止。立って手を広げているのが牧ちゃんで、普段は絶対こんなことはしない生真面目な男。手前がセブンイレブン竜太。


11:00 伴走船で沖に出て偵察し、潮もウネリも弱まっていることを確認。
11:25 再出航。
最終レグは残すところ8キロ程度になっていたので、ラストスパートは牧ちゃん・竜太・俺の3人で漕ぐことにした。
この3人なら多少のウネリがあっても2時間以内にフィニッシュできる距離だ。
俺にしても他のクルーにしても、去年から苦楽を共にした戦友と一緒にフィニッシュできるのは感慨深い。

沖には大きいウネリが残っていたが、漕ぎ手は意気軒昂。
悪天候で中止になった去年のリベンジに燃えていた。
滅多に喋らない牧ちゃんが、変な掛け声を出してはしゃいで漕ぐ。
今見ている風景は、上越市の海岸。
日本海縄文カヌープロジェクトをたった一人で始めて3年目・・・やっとここまで辿り着いた。
みんな有難う・・・喜びを共有できる仲間がいる、そのことだけでも財産・・・と胸が熱くなる。


ドキュメント上越航海・・・ワレ上陸ニセイコウセリ 05251250 (後半)_f0225473_20125685.jpgあと数百mで上陸という頃合いで「ガン漕ぎいくぞうっ!」と気合。ガン漕ぎとは頑張って漕ぐという意味の最速ペースの漕ぎのこと。パドルよ、あれが居多ケ浜の砂だ、と悦に浸っていたらクルーは上陸直前に力尽きた。

最後の難関は、有間川フィシャーナという釣り用の桟橋沖の「二つ岩」。
大きな岩が二つあるが、その周囲には岩礁が沢山あるから要注意なのだ。
満潮で岩が隠れている・・・白波が立っている所や海底が黒く見えるとこをを何度か迂回して難関突破。
ウネリがあるとこんな海域には神経を使う。

沿岸を走る国道8号線に、直江津入り口の郷津トンネルがポッカリと暗い口を見せてきた。
最後の入り江を回ればあと500mでフニッシュ。
上陸予定地は東側の郷津海岸か、隣接した西側の居多ケ浜。
郷津海岸はサーフィンのポイントだからウネリを心配していたが、この時はサーファーもいない静かな海だった。

砂浜で大勢の仲間が手を振っている・・・照れくさくて直視できない。
12:50 迷わず西の居多ケ浜に上陸。
航海距離26.6キロ・航海時間7時間50分。
航海中の平均速度4.8キロ・最高速度11.9キロというのが今回の航海実験の記録。

出雲や親鸞上人が上陸して、「安寿と厨子王」が人さらい騙されて京に送られ、上杉謙信が軍港にしていた歴史ある古の直江津港だ。

ドキュメント上越航海・・・ワレ上陸ニセイコウセリ 05251250 (後半)_f0225473_20182078.jpg予想外に多くの人達が出迎えてくれた。正直、照れくさくて仕方ない。インタビューで「今の感想は?」と聞かれて「感慨無量です。多くの仲間のお蔭で無事終わりました・・・これで暫らくは普通の生活が送れます・・・」と答える。


ドキュメント上越航海・・・ワレ上陸ニセイコウセリ 05251250 (後半)_f0225473_20183248.jpg予想外の胴上げ歓迎・・・と思いきや海に抛り投げられて水中プロレスごっこになった。無邪気に遊んだ。ひっくり返って笑った・・・牧ちゃんがメガネを海に落としてみんなで探す図。(今回の写真は糸魚川信用組合まちつくり推進室提供)

出迎えの人達と懇談していたら、竜太が無言で近づいてきて黙って俺の携帯電話とメガネを外した。
???と思う暇もなく、何人かが俺を担ぎ上げた・・・胴上げか?・・・いや違った。
仲間たちは俺を担いだまま波打ち際に走って行く。
どうやら俺を海に抛り投げるつもりらしい。
俺も只では済まさない。
ちょうど両脇にいたヤツの首を腕で締め上げて道連れにしてやった。
まだ冷たい海でプロレス大会・・・バックドロップやボディースラム・・・牧ちゃんが「海にメガネが落ちたっ!」と悲鳴を上げる・・・みんなで大笑しながら膝くらいの深さを四つんばいになって一種にメガネを探した・・・空は青く、ヒンヤリとした海水が心地よかった。
おしまい
by jhomonjin | 2013-06-01 19:33 | 日本海縄文カヌープロジェクト