21世紀の縄文人を目指す男の記録


by jhomonjin
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祭りバカ

月曜日に寺町区の「けんか祭り」の勉強会があった。いよいよ祭りは今週末だ。
氏子総代から祭りの歴史の話しのあと、各役ごとに分科会を開いての作戦会議だ。といっても飲みながらの親睦会がメインで、酔う程に先輩諸氏からのアドバイスや若手の挨拶まわり、所信表明などで大いに気勢を挙げた。

俺は高校を出てからずっと故郷を離れていたが、幼馴染達には地元に残ってけんか祭りを支え続けてきた奴もいる。彼らは皆すっかり貫禄も付いていい顔になっている。
子供の頃から「末はヤクザかゴロツキか」と言われていた悪ガキが、今では誰が見ても納得の人情味のある、頼りがいのあるいい男になっているのだ。

特にKは若手から「祭りの時のKさんは、祭りの中の祭りって感じがします。俺もKさんみたいになりたいですよ。」と手放しで信頼を置かれているのだ。確かに今のKの言葉には力がある。リアリティーと重みを感じる。心に響く言葉が自然に出てくるのだ。

若い頃のKは確かにワルだったし、今も知らない人が見たら怖そうと思える顔つきをしている。
しかし体格的には標準的で見た目が押し出しが強そうなわけではなく、腕っ節も特に強いわけでは無い。
弁舌爽やかでも無い。だから人望があるといっても番長的な人望とはちょっと違う。

無防備といえる程の良い奴。何時でも一生懸命で、天真爛漫な子供っぽい稚気と大人のケジメを同時に持ち、責任感と面倒見の良さに溢れる、いざという時に頼れる奴、って感じがする。言動は乱暴かもしれないが誠実で正直な奴だと感じる。ちょっと褒め過ぎか。

祭りは人を育て、男を磨く。

よく本屋で「人を動かす言葉」みたいなビジネス書を見るが、Kを見ていると人は言葉で動くのでは無く、「人に接して感動した時に動く」のだと実感する。内容のある人が話せば人が動くのであって、内容の希薄な奴が借り物の知識を使ってどんな言葉を使っても人が動くもんか!と思う。

Kが若手に檄を飛ばしていた。「ええか、神輿ぶつける時ゃ前だけ見てぶつかれや。おっかなくても目は瞑るなよ。神さんだけちゃんと守っとりゃええやんだっちゃ。最後は想いだけだぞ。例えばさ、去年の三回目に神輿が上手く組めたって言っても、そりゃその時だけで終わっとる。成功は忘れんきゃ駄目なんだわ。失敗した事だけ若いモンに伝えりゃええんだそいね、おりゃあえて失敗だけ教えるんだわ。ええかっ、同じ組み方でやっても二度と同じようには組めんやんぞ。絶対に上手くいかやんぜ。毎回条件が全部違うわんじゃ、100点満点は絶対無いやんぜ、想いをぶつけりゃええやんだっちゃ!ただ前だけ見とれや!わかったな!」と。

まるで整体指導者や古武術研究家みたいな事をさらっと言ってのけるのだ。一度の成功事例を金科玉条にせずに毎回方法論を更新していけ、なんて並みの人間では出て来ない言葉だと思う。
若い衆は皆、正座して彼の言葉を聞き漏らすまいとしている。真剣な眼差しだ。俺も横で聞いていて感動した。奴は言葉は自分の言葉を腹の底から出している。ホンモンだ、と再認識した。
彼は高校を出てから何かの修行を特にしていたのではない。ただ地道に働いて家族を養い、祭りに生甲斐を感じて誠実に生きてきただけだ。
格好よすぎるぜ、K!
長老達も格好良い。先輩諸氏や後輩達も良い顔をしている。この場には私という主語は存在しない。
主語は「俺たち寺町のモン(者)」だ。そして何世代にも渡って創り上げて来た共有された「この場」こそが主語だ。
みんな祭りバカだ。この連中と同じ仲間で、同じ場を共有しているというだけで、生きてて良かった、とシミジミ思う。
今年も絶対にええ(良い)祭りとなるに決まっとる!と確信した。
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by jhomonjin | 2010-04-06 22:44 | 祭り