21世紀の縄文人を目指す男の記録


by jhomonjin
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

京都は町屋が面白いぞ。

整体の稽古で、往復800キロをバイクで京都にいってきた。
高速道路を使えば、休憩期間も入れて時間にして片道6時間だ。
俺のバイクは250CCのオフロードバイクで、すでに走行距離は8万キロのばあさんバイクとなったが、実に健気に走ってくれる。
バイク好きな人なら、この手のバイクで800キロのツーリングをする事と、延べ走行距離で8万キロになっている事に皆、びっくりする。
車でもそうだが、長く乗ったバイクは、持ち主の気持ちとバイクが感応する。
だから、そろそろ乗り換え時期かねえ、と仲間とバイク談義する時には、俺のバイクに聴こえない様に、声を潜めて仕舞う。
そんな話しばかりしていると、バイクが拗ねて調子が悪くなるし、第一にバイクが可哀相だ。
だから労る気持ちで高速巡行速度を80キロに保ち、「有難う。よく頑張ってるな。帰ったらオイル交換するかんな!」とタンクを左手で優しく撫でて走っている。

京都には、ゲストハウスという安宿が多い。
ゲストハウスは基本的に素泊まりで、ドミトリーという大部屋なら2000円前後、ひと部屋貸切なら4000円前後で宿泊可能だ。
宿泊客は外国人や、大学生が多いので、話し好きな人には良いが、あまりにも大学生ばかりだとうるさくて、俺好みの静かで居心地の良いゲストハウスは少数だ。
小うるさい規則ばかりのゲストハウスも敬遠している。
しかも今回は整体の稽古が目的で、信じられないだろうが、少数の男性だけの特訓が真夜中まであるので、宿に帰るのは朝の2時~3時となる。
翌朝は10時からの稽古なので、この3日間の京都稽古期間の平均睡眠時間は3時間から4時間前後となり、静かでゆったりと寛げる宿は必須となる。

今回の宿は、「ボーダー」というバイクと自転車旅専門の宿で、俗にいうライダーズハウスだ。
なんと素泊まり1000円で、10畳くらいの和室を自由に使わせてくれる。
梅雨時期で平日だったので、宿泊客は俺一人だ。
ボーダーの本業は、上京区の住宅街にある米屋さんである。
二条城の近くで古い町並みの中、銭湯や定食屋さん、喫茶店も近くにあるので、便利このうえ無い。

f0225473_19215939.jpg
京都の住所表示
仁丹とは、なんともレトロな住所表示である。
町内によってデザインが変わるので、歩いているだけで楽しい。
上京区と右から書かれている所を見ると、戦前からの物かも知れないが、それ程錆びていないので、デザインを変えずに戦後に作った物なのか?大事に手入れしているから戦前から残っているのか?そんな推理をする事も楽しい。

f0225473_19382567.jpg
悉皆屋さんの看板
悉皆屋(シッカイヤ)とは、死語になってしまったが、着物の何でも屋さんの事。
仕立て、染み抜き、洗い張り、染めといった着物に関する専門家である。
首都圏にも悉皆屋さんはあるが、仕立て以外は京都の悉皆屋さんに取り次ぎするだけになってきているそうだ。
京都の町屋地区を歩くと、頻繁に目にする。


ボーダーは、バイク好きの米屋の息子さんが、北海道に多いライダーズハウスにヒントを得て、離れをバイク好きの交流の場にしていたのだが、若くして癌で亡くなったのだという。
現在のオーナーはその親父さんで、息子さんの供養で宿を存続させているのだ。
親父さんはバイク乗りでは無いが、ライダー達と話す事で、息子さんを偲ぶ事を愉しみにしている。

雨の晩に到着して、翌朝起きて見たら、俺のバイクにレインカバーが掛けられていた。
息子さんの遺品だろう。
稽古から深夜、宿に戻ってみると、蚊取線香が交換されていた。
気楽に自由にさせてくれてはいるが、さり気ない気配りが嬉しい。
実に良い宿だ。
親という漢字は、木の上に立って子供の成長を見守る、という字義があるのだと、確か「三年B組金八先生」で武田鉄矢さんが言っていたぞ。
亡くなった息子さんと親父さんの関係も、その様なものだったのだろう。
きっとおおらかな良いヤツだったに違いない。

京都というと、神社仏閣や祇園、史跡巡りの観光を楽しむ人が多いと思うが、俺は早朝や深夜の町屋を見て散歩するのが好きだ。
東京では浅草に似ていて、古い屋並みが残っていて、普通の家の他に職人さんの工房兼住居や老舗のお店などが混在していて、建物にバリエーションがあるからだ。
f0225473_19475149.jpg
吹きガラス
歪んだガラスに注目!
吹きガラスとは、板ガラスを型に入れてプレスする以前の、吹いて作っていた時代のガラスである。
たかがガラスと言うなかれ。これが割れると、二度と同じガラスは入手不可能となった現在、貴重な年代物だ。
何時からこのガラスが嵌っているのかは不明だが、大事に使っているのだろう。
手摺りがうっすらと赤茶色がかっているのは、紅殻の名残だ。かっての京都の町屋は、どの家も玄関周りが赤茶色の紅殻が塗られていたのである。

f0225473_1954076.jpg
蔵の錠前
老舗の油屋さんの蔵の錠前。
レトロである。錠前も死語になってきた。知らない人、手を挙げて!






上京区だけでなく、京都市内の古い住宅街には、デザインの均質さはあっても、建物の目的にバリエーションが多い。
家の近くに八百屋も魚屋も、喫茶店、蕎麦屋、定食屋、悉皆屋、銭湯だってある。
町自体がデパートなのだ。町内で何でも揃う。
しかもお店の人も同じ町内の住人で、気心の知れた仲だから変な商売は出来ない。
近年流行りの郊外の大型店舗は迷子になる位に広いし、何故だか目的のテナントに辿りつくまでがイライラする。
チクショー!と怒りっぽくなるのは、俺だけか?
しかし京都の町屋地区なら、ノンビリと散歩しながら買い物が出来る。
疲れたらアンミツかお汁粉、コーヒーでも飲めば良い。
つまり車を持っていない人や老人には暮らし易い街である。車の入れない狭い路地が多いから、猫にも優しい街だ。
f0225473_2037534.jpg
サービスショット
猫には屋根が似合う。
カラスが猫をからかって、近くに寄って来るが、猫が飛びかろうとするとサッと飛び立って逃げていく遊びを何度もしていた。カラスが一枚上手だ。哺乳類より鳥類の方が賢い、という逆転が面白い。
[PR]
by jhomonjin | 2010-07-03 09:05 | 旅の民俗学