人気ブログランキング | 話題のタグを見る

21世紀の縄文人を目指す男の記録


by jhomonjin
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

最強のサバイバル術・・・原子力より原始力を!

サバイバル時には歯磨きをどうするのか?というコメントが寄せられたので、お答えします。
漁師の叔父は指に塩を付けて歯を磨いてましたが、虫歯が一本も無い事が自慢でした。

江戸時代には房楊枝という歯ブラシがあったようです。
写真の房楊枝は縄文の師匠である和光大学の関根秀樹先生が,町田市の青空骨董市で買って、私のインド土産のニームと交換してくれた実物です。
ニームとはインドの房楊枝です。

かわ柳の枝の先端を金槌で叩いて潰して、針で出来た櫛でしごいてフサフサを作るのだそうです。
フサフサの方で歯を磨いて、尖った方で舌苔をしごいて口臭予防までしていたそうです。
落語の『明け烏』には、房楊枝を使う場面が出てきます。
最強のサバイバル術・・・原子力より原始力を!_f0225473_21354234.jpg
房楊枝
中央が日本の房楊枝。下がインドのニーム。上は関係ないけどバンコクで買ったアイマスクで、耳栓とアイマスクは普段から持ち歩いている。ひ弱なジャパニにとっては何所でも安眠する為のサバイバルグッズだ。

今でもインドでは、少数派ですがニームを使っている人がいます。
ニームは柑橘類の枝で、使い方は日本の房楊枝と同じですが、インド人の青年は歯でガシガシと噛んでフサフサを作っていました。
真似たらとても堅くて、噛みしごくなんて出来ませんでしたが。
ニームはアーユルベーディックの古文書に紹介されており、かなり古い歴史があるそうです。
写真の実物は、南インドの雑貨屋で買ったものです。

また普通の爪楊枝も歯の掃除には多少なりとも良いでしょう。
高校生の頃に読んだ片岡義男のエッセイに、米軍放出品のレーション(携行食品)の中に歯の掃除用の爪楊枝が入っていた、と出ていました。
レーションには一食分の食事の他、デザートや嗜好品、トイレットペーパーと爪楊枝などもセットされていて、食事後には爪楊枝を歯間に差入れて磨け、と説明書(もちろん英語)に記載されていたそうです。
うる覚えですが、形は羊羹を食べる時のような小刀型で、黄色い薬品が塗られており、楊枝の厚みがかなりあるので、歯間に差入れるのは無理だ、と書かれていたように記憶しています。

いざという時の歯磨きには、公園の枝でも折って房楊枝や米軍型の小刀爪楊枝を作ってみてはどうでしょう。
小枝の先端を石やナイフの柄尻で叩き潰してから、釘先などで繊維を縦方向に丁寧に割いていけば、フサフサが作れそうです。
小刀爪楊枝なら、ナイフで簡単に作れるでしょう。

石鹸代わりには泥や砂が使えると思いますが、被災地の泥や砂は汚染物質混入の可能性もあるかも知れません。
ムクロジという植物の果肉には、サポニンが含まれていて水で揉み解すと泡が立ちます。
昔は石鹸代わりに荒物屋(雑貨屋の事。死語ですね)で売っていたらしいのです。
落語には美人を表現する時に、『色が白いって、どれだけ白いかってぇと、木賊で磨いてムクの実で洗ったよう・・・』という常套句があります。
木賊(トクサ)とは植物の茎で作った昔の紙ヤスリです。使った事は無いですが、今の紙ヤスリでいうと、800〰1000番くらいの粒度であったようです。
また『茶の湯』という落語には、黄粉で色付けしてムクの実で泡立てた抹茶モドキを飲んで下痢し続けるご隠居さんが主人公です。
首都圏では公園に植樹されている事もありますし、確か東京都埋蔵文化財センターの縄文村にも生えていました。
因みにムクの果肉に入った黒い実は、羽子板の羽根の球や、数珠球に利用されています。

米の研ぎ汁だってシャンプー代わりにしている知人がいますし、小糠を木綿袋に入れた「糠袋」で体を擦ると肌がツルツルになります。
だから石鹸が無くたって不潔になるなんて事はないのです。
私は整体を勉強し始めてから十年は経ちますが、それ以降は石鹸もシャンプーも使っていません。それでも体臭などで人から何か言われた事はありません。
逆に乾燥肌が丈夫になってきました。

東北の災害地では紙おむつや生理用品が無くて困っているようです。
実物を見た事は無いですが、昔の生理用品は越中褌状の『生理帯』という物があったそうで、今でもエコロジーの観点から愛用している女性がいるようです。

サバイバル用品を揃えるよりも、本当は昭和30年代以前の暮らしの技術や知恵を学んだほうが、いざという時には役立つ、というのが私の持論です。
あるいは東南アジアなどで今も残っているちょっと昔の生活スタイルなど。

だから私は六十代以上の現場の人(職人に限らず、農家や漁師なども)の体験談には興味が尽きません。
電動工具の無い時代に徒弟制度で修行してきた最後の日本人です。
例えば昔は巨大な柱や梁をクレーン無しでどうやって移動していたのか?という質問をした時の答えに目からウロコが落ちました。
専門的な難しい話だし、長くなるから紹介しませんが、便利な機械が無くたって工夫次第で不可能を可能にしてしまう人間の底力に感動しました。


優れた現場の人には独特な現場勘があります。
それは経験によって培われた予測と工夫の知恵です。
流れを読んで何を最優先させるべきか、不可能な理由を挙げたてて諦めるよりは、不可能を可能にするにはどんな工夫が必要なのか?と簡単に諦めないのです。
こんな人達なら、津波や家屋倒壊といった突然のアクシデントさえ避けられれば、サバイバルグッズが無くても生き延びるでしょう。

これからは原子力より原始力を見直しましょう。
遊びにいくなら東京デズニーランドの様な、工夫や体力もいらず、スリルや安全もあなた任せでお金で買える遊びは小さな子供達やお年寄りに任せて、若者は野山や海で遊びましょう。
アウトドアの遊びではスリルと危険は隣合せで全て自己責任です。
遊びながら原始力が飛躍的に高まる筈です。

首都圏の人なら、関根秀樹先生のワークショップに参加されたらどうでしょう?
先生は各地で焚火や古代の火お越し術、手作り民族楽器などのワークショップの講師をされています。
関根先生のどの講座に出ても、講座の後にお茶やご飯に誘えば、色々な話をして頂ける可能性があるかもしれません。
但し、親しい仲にも礼儀ありで、貴重な話しを只で聞こうなんて了見では社会人失格です。
先生は大らかな方なので何も仰りませんが、そんな礼節を弁えない社会人が実に多いのです。
そんな場合には誘った側や話を聞きたい側がちゃんと料金を持つのが常識です。
研究室に訪ねるにしても、手土産くらいは持って行って下さい。(先生は甘党です)
最強のサバイバル術・・・原子力より原始力を!_f0225473_226484.jpg
火越し道具
上段左はダケカンバの樹皮で焚き付けに最高だ。盆時期の信州では迎え火用にコンビニでも売っている。右はラオスで買った火打石セット。下段4点は弓錐式火越し道具セット。挑戦したい人は関根先生の本を買ってくれい!

市販されているサバイバル術の本に書かれている内容は、実体験に基づかない孫引きや引用が多く、実用にならない知識が結構あります。
試しに図書館に行ってサバイバル本を読んでみて下さい。
曰く、無人島で道に迷ったら、切り株を探して年輪が詰った方が北だ、なんて書かれています。
一体、無人島に切り株がありますか?
平原の一本樹なら年輪の詰った方が北というのは納得できますが、斜面に生えている樹や込み合った森の中ではそんなに簡単ではありません。
最強のサバイバル術・・・原子力より原始力を!_f0225473_215431.jpg
炊きつけ
ダケカンバの樹皮の代用品は簡単に作れる。鋸のおが屑を蓋付きの空き缶に入れて石油を染み込ませるだけだ。鉋屑は駄目で細かい鋸屑がいい。左が竹の鋸屑だけ、右が石油を染み込ませた同じ物。小匙一杯で十秒位燃えた。

外国の特殊部隊用のサバイバル本だって同じです。
火越しの方法が紹介されていても、絶対に不可能な事が平気で紹介されています。
衛星放送のディスカバリーチャンネルで、人気サバイバル番組を観ましたが、アメリカ人のサバイバルマンは、錐揉み式火越しで三十分で火が起きるなんて平気で言ってました。
番組では実際に火が起きていましたが、多分火薬を使って誤魔化していたのでしょう。
錐揉み式なら練習次第で初心者でも30秒もあれば火は起きますし、一人で1分以上も錐揉みを続けると腕に力が入らなくなるのが普通です。

そこへいくと関根先生の話は全て体験に裏打ちされ、工夫に工夫を重ねた本物です。
最後に関根先生から焚火のアドバイスがありました。
先生は焚火の達人で、日本焚火学会だか国際焚火学会だかの顧問までされています。

『被災地でのサバイバルの件、炊き出しや暖をとるのに火を焚く場合、絹や羊毛の服やポリアミド(ナイロンなど)、ポリウレタンなどは燃やすと不完全 燃焼で大量の一酸化炭素と青酸ガスを発生します。また、マツ材は大量のススや煙を出し、立ち消えもしやすい上、スギ材の17倍近い一酸化炭素を出 します。煙を吸い込まないように、換気の悪い場所では絶対に焚かないように、ブログでお伝えください   関根秀樹』
by jhomonjin | 2011-03-22 23:26 | サバイバル