ひび割れ問題発生!・・・でも終わりが見えてきた。
2011年 05月 03日
祭り当日を除いたほぼ毎日、現場に行って斧を振っていた。
なんとか形になってきたが、この一週間はひび割れ問題に直面している。
船首
断面形状は船首がV字で始まり、次いで緩やかなV型~U型~中間点でフラットボトム~船尾に向ってU型~V型で終わる船型とした。凌波性、安定性、直進性、速力を良くする工夫だが、沖縄のサバニ船型をモデルとした。
ひび割れは伐採時から木口に放射状のひび割れが入っていたので、当初は木口に木工用ボンドを塗ってひび割れ拡大の対策をしていた。
また伐採後は芯材を素早く除去する事や、作業していない時にはブルーシートを掛けての養生など、考えられるひび割れ予防はしてきたのだ。
しかし伐採一ヶ月を経過して、節が集中している部分にひびが入りだして、ついには部分的ではあるけども内側に貫通したひび割れも出てきたのである。
もともと枝打ちや間引きなどの手入れをまったくしていないトウヒを只で貰ったのだけど、左舷船首部分には1㎡に15個もの大小の節が集中している事もあって、何をしてもひび割れは仕方なかったのかもしれない。
関根師匠に現状を相談したら、植樹されたトウヒは木理が捻れているし、節が多いなら仕方ないだろう、との事だ。
抜本的な対策は特に無いので、ひび割れが出るだけ出させてから対策を練るしかなさそうだ。
ひび割れを数えてみたら、何と48個もあった。
その内、貫通や貫通の危険のあるひび割れも大分ある。
船尾
V型で終わる船尾は、水抜けと安定性をよくする工夫だ。木の塊から思う通りの立体を作るのは、多面体を作ってゆき、最後に角を取るのだけど、ミニチュアと違って実物のカヌーを作り出すのは難しい。墨出しが全てだ。
対策として、連休中に内抉りを90%終わらせて、再び小滝にカヌーを運んで高浪の池に浮かべて夏まで水枯らしする事にした。
樹は水で枯らすのが一番だ。
樹液が水の浸透圧で抜けて、木の細胞内が水に置き換わる事で、乾燥を満遍なく促進させるのである。
樹液が抜けて水が充分染み込んだら、次は水から引き上げて日光の当らない風通しの良い屋内で自然乾燥させてから加工をするのが本当だ。
こうやって木を枯らして、ひび割れや乾燥収縮などの暴れを充分にさせきった材木を吟味して舟を作るのがベストなのだ。
俺の場合には時間短縮の為に鉄器や近代工具を使ってはいるけども、縄文式の石器木工の場合は生木でないと刃がたたない事から、その点だけは縄文式に生木でカヌー作りを始めた訳である。
多分、縄文人がカヌーを作る時には、工程毎に水に漬けて時間を掛けていたのではないだろうか?
それと多少の歪みやひび割れは直しながら使っていたのでは?なんて思っている。
見た目などの細かい事もあまり気にしなかったんだろうな、とも想像する。
乾燥防止対策
もっかの所、作業後は濡れたシーツを被せてからブルーシートで覆っている。過剰だと黴の原因となるので、試行錯誤している。早く水に浮かべたいもんだ。養生にも知恵と経験が必要だ。
いずれにしても勝負は明日だ。
あと二日間で90%仕上げて、土曜か日曜には池に浮かべたい。
工程的には余裕があるのだけど、一ヶ月もやり続けた作業の終わりが見えてきて寂しさもあって、ちょっと複雑な心境だ。
夏に陸(オカと読んで下さいな)にあげたら、横梁を入れる加工がある。
アウトリガーを取り付ける為と、乾燥収縮によるひび割れ対策だ。