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21世紀の縄文人を目指す男の記録


by jhomonjin
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海のヒスイロード復活なるか?・・・いよいよ来週は上越航海

土日の訓練では、漕ぐ練習だけではなくアウトリガーの微調整や丸木舟の軽量化もしている。
明星丸は東南アジアの漁村で多く見受けられるダブルアウトリガーカヌーだが、アウトリガーが海面下に沈めば当然ながら抵抗となる。
抵抗となれば船足が落ちるし、ウネリや潮の流れの影響をモロに受けて左右にふらついて直進性が悪くなる。
だからヤジロベーのように海面ギリギリにアウトリガーが浮いている状態がベストなのだ・・・ということを体験から知った。
海のヒスイロード復活なるか?・・・いよいよ来週は上越航海_f0225473_215731.jpg
訓練の後、近くでSUP(スタンドアップ・パドル・ボード)の体験会をしていた、柏崎市のサーフショップオーナーのダイゴさん達に合流して、久しぶりのSUPを楽しむ。体験会の後は縄文カヌーを見て貰った。右がI大工さんで左がダイゴさん。

ところが実際に海に浮かべて漕いで見ないと、どの程度の状態になるのかが分からないからやっかいなのだ。
フロート(実際にはバランスを取る錘の役目)の大きさも小さ過ぎても大き過ぎても駄目だ。
腕木とフロートを連結させる垂直の束の長さも重要で、長すぎるとフロートが沈み過ぎるし、短か過ぎると左右バランスが取りづらくなる。
毎回、訓練の前に前回の訓練で得た改良点を微調整していた。

その過程で素晴らしいアドバイスをしてくれたのが、地元サーファーの親分的存在のI大工さん。
腕木と束は「貫構造」で連結してあるが、I大工さんのアドバイスとは束の長さを自在に変えられる工夫として、ホゾ孔を縦に広げて楔で固定するというもの。
そのアイデアに加えて、セブンイレブン竜太と二人で工夫を重ね、本番一週間前の今日、やっと理想的な状態になったのだ。
前日の訓練では潮の関係もあって直進性が極端に悪く、二人で途方に暮れていたのだ。
海のヒスイロード復活なるか?・・・いよいよ来週は上越航海_f0225473_221435.jpg
Iさんのアドバイスで作った束の長さを自在に変えられる工夫。上になっている楔を交換すれば長さの調整ができる。素人が丸鋸だけで大きな欅材から製材するから骨が折れるが、実用に不便はない程度には収まっている。


今日は切り札として最後の改良を加えて、祈る心地で海に出た。
凄い!面白い!昨日までが嘘のように早くなった。
アウトリガーのフロートが海面上にギリギリ浮いているので、漕ぐと直進性と速度は申し分ない。
慣れないと左右バランスが取り難いが、バイクに乗っているようなバランス感覚で体重移動も加えると方向転換も早い。
北東ウネリと北東の風の吹く沖を目指して漕ぎ出す。
直進性が良いと漕ぐことに集中できるので、余計なストレスが無く実に愉しい。
沖は白波が立っていたが、大きな波が来てもアウトリガーが波に突っ込むことなく船首が波を超え進んでいく。
波を難なく超えるたびに二人で歓声をあげる。
GPS測定では、長時間漕いでも疲れない巡航漕ぎで向い波・向い風の沖に出て行く時には時速2キロ前後、波に乗って帰ってくる時には時速6キロ前後だった。
ウネリに乗った時の最大速度の8.3キロは、明星丸の最高記録だ。
海のヒスイロード復活なるか?・・・いよいよ来週は上越航海_f0225473_2261176.jpg
最後の切り札は、三寸角の端材をアウトリガーの下に入れて持上げる工夫。航海が終わったらI大工さんから教わった束のホゾ孔を広げる楔作戦をしたい。これで上越航海の成功確率が高くなった。竜太、協力してくれて有難う!

ここまでにするには、相当悩んだし工夫を重ねてきた。
縄文カヌーの活動はマスコミに紹介される表舞台は華やかだが、裏舞台では地味な活動の重ねの連続だ。
誰も作ったこともない丸木舟だから技術的なことで相談できる人もいないし、実際に現場仕事を手伝って貰える人もいない孤独な作業の連続。
よく「丸木舟の作り方をどこで習ったの?」なんて聞かれるが、熱意と試行錯誤でしか無い。
「途方に暮れる」→「なんとか工夫して乗り越えた」というのが、実状だ。
そんな中で竜太やI大工さんのような人達に支えられてなんとか「海のヒスイロード」復活の入口に辿り着いた。
海のヒスイロード復活なるか?・・・いよいよ来週は上越航海_f0225473_22105288.jpg
工房進捗状況。蝉丸さんから貰った引き戸を縦にして「横滑り戸」に改造した。歪みを直して浸透性塗料を塗ったらレトロな感じに仕上がった。俺は昔、リフォーム店店長をしていてレトロ調のデザインをよくしていたのだよ。

Iさんからは、たまに様子伺いの電話を頂く。
今日は昼飯を誘って頂いた。
こんな精神的なサポートは助かる。
竜太もキツイ仕事を嫌がらずにやってくれている。
俺一人でやっていた時よりは格段に楽になった。
やるだけのことはやった。
五千年の時を経て「海のヒスイロード」復活なるか?
後は当日の天候次第。
by jhomonjin | 2013-05-19 21:53 | 日本海縄文カヌープロジェクト