21世紀の縄文人を目指す男の記録


by jhomonjin
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

ドキュメント上越航海・・・ナミタカシ キンキュウヒナンス (その2)

先発漕ぎ手を見送って、俺たちは伴走船に乗り込むために隣接した小泊漁港に向かった。
伴走船で沖に出てみると、丸木舟は最初の難関である小泊漁港防波堤をとっくに超えていた。
海に突き出た構造物周辺は潮の流れがグチャグチャなことが多く、丸木舟だと操船が難しいのだ。
出航して15分ほどだが、「上越まで行ける!」と航海の成功を確信した。

f0225473_21103015.jpg筒石漁港沖を目指して快走する竜太・槇ちゃんの先発漕ぎ手。伴走船で明星丸に寄ってみると二人が笑って手を振った。「イルカ出ましたよう~!」と竜太がノンビリと言った・・・余裕がある・・・ヨッシャー!伴走船一同が声を挙げた。

沖は北ウネリがはあるものの、波長が長い優しいウネリで西の微風2m。
GPSで平均時速5.6キロ計測。
このままのペースなら4時間で上越まで行ける計算だ。
自然と微笑んでしまう。

日が昇って明るくなってくると、ウネリは相変わらず大きいがほぼ無風になった。
写真で見るとウネリは小さく見えるが、後日にテレビ放映された映像を見たら、ウネリが結構大きくて明星丸が木の葉のように翻弄されていた。
これだけのウネリで平均時速5キロ代を維持できたのだから大したもんだ。

日が昇ったら熱中症に注意だ。
沿岸に岩場と暗礁が続く小泊~筒石漁港間の難所4キロをあっという間に超えた。
先発漕ぎ手のピッチは若干落ちて、平均速度5.2キロ。
筒石漁港沖から先は「、うみてらす名立」のでっかい風車が目標だ。

f0225473_2115897.jpg伴走船船長は、海に出ると「海はいいなぁ!」が口癖の笠原重機(KTEC)の笠原社長。航路の下見までしてくれた義理人情に篤い剣道五段。伴走船は父親の形見で、航海後半は弟の信和さんも乗船したから、本当の兄弟船になった。



f0225473_2128217.jpg「うみてらす名立」に入港する竜太・槇ちゃん組。彼らは弁天岩からの11キロをほとんど休憩なしで2時間で完漕した。「凄げえよ、偉いねぇ~」と健闘を讃えると、竜太は「余裕っす!」と笑って応えた。この光景を夢描いて3年間・・・。


予定では「うみてらす名立」で昼食休憩だったが、朝7時という大健闘の先発組の早い到着のお蔭でタイムスケジュールに余裕ができた。
そこで北風が吹きだす前に距離を稼ごうと,30分ほどで慌ただしく再出航となった。
ここで漕ぎ手は、先発組から後発組の俺と青年会議所の池ちゃんに交代。
名立漁港の防波堤をかわして港外に出たら、ひたすら米山を目指す。
航路は残り60%くらい。
ウネリで蛇行させられる分をみても、あと12~15キロ前後漕げば上越市郷津海岸だ。

しかし「うみてらす名立」からは北の潮が強くなりだして、西ウネリに変わって保針に苦労する。
池ちゃんは3時間くらいしか丸木舟体験の無い初心者だから直進性が悪くなるのは仕方ないとしても、潮と逆のウネリでなおさら船首が振られてしまう。

パドルをシングルから、カヌー用のダブルパドルに変えて必死に針路を米山に保つ。
ダブルパドルは長いので方向修正しやすく、左右の漕ぎの切り替えが素早くできるからこんな時のために用意しておいた。
なんとか平均速度5キロ代キープ。
次第に池ちゃんが下を向いて漕ぐようになった。
「池ちゃん、下じゃなくて米山を見て!目標から目をそらすと針路から外れるよう!」と檄を飛ばすが、すぐに下を向き始める。
どうも池ちゃんの様子が変だ。
何回か「大丈夫か?」と池ちゃんに聞くと、数回目に「船酔いでもう駄目っす」と弱い返事。
伴走船に漕ぎ寄せて「竜太!池ちゃんと交代っ!船酔いだっ~」と叫ぶ。
池ちゃんは出航して30分弱で無念のリタイヤ。

竜太と漕ぐと流石に速い。
17キロ地点の有間川漁港沖に到着した段階で、ますます北の潮が速くなって行く手を阻まれる。
そこに加えて西ウネリが風速3~4mほどの西風で成長して風浪となってきた。
北の潮で船首が南に向かされ、西ウネウリが横からドンドン当ってくるから堪らない。
波長が短い・・・ウネリの間隔が狭い・・・ウネリになってきたから出航時以上に明星丸が翻弄される。
最大波高1m近くなってアウトリガーがバウンドし始めた。
この海況で初心者の池ちゃんと漕いでいたら・・・と思うと慄然とする。
池ちゃんが船酔いして竜太に変わっていたことが幸いした。
竜太は若くて体力があるし、去年から訓練を積んでいるから頼りになる。

そんな状態でも明星丸には波が入ってこない・・・いい舟だ、と健気な明星丸が愛しくなる。
明星丸は、縄文時代の丸木舟レプリカそのものではなく、凌波性のいい沖縄のサバニ船型の船首デザインを取り入れているから当然と言えば当然の話。
船首が波を切り裂いていく感じがたまらなく頼もしい。

f0225473_21523615.jpg俺が漕いでいる写真はないので、竜太・槇ちゃん組の写真。槇ちゃんは真面目だからカメラを向けるとカメラ目線になる。もっと自然に!と注文すると固まってしまう男。15歳も年下の嫁さんがいるが、あれだけ無口でどうやって口説いたんだろう?


「うみてらす名立」までは穏やかな海が、港外に出て西側の鳥ケ首岬付近からは牙を剥き出したのだ。
海って怖い。
操船困難・・・実は似た経験が先週の訓練であったばかりだ・・・その時の記憶が蘇る。
こんな時は早めに安全圏に離脱するに限る。
「竜太っ、有間川漁港に緊急避難っ!」と針路を米山から有間川漁港に変えた。
伴走船は、船酔いが酷い池ちゃんを有間川漁港に上陸させるために不在。
ここで転覆でもしたら・・・と思うと心細い。
潮で500m北東に見える漁港とは反対の南西に船首が向かされるのを竜太と苦労して漁港に向うが、なかなか漁港は近寄ってこない。
危うし明星丸・・・続き
[PR]
by jhomonjin | 2013-05-27 07:57 | 日本海縄文カヌープロジェクト